文芸誌放談

日本の文芸シーンの最先端である文芸誌を追っかけ、格付けし、思ったことなどテキトーに。

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「嵐より甚しい凪--古井由吉論」高澤秀次(新潮2013年3月号)

※これはメモ程度のエントリーです。特に『聖』『栖』『親』の三部作を基軸にしている。 柳田國男の「毛坊主考」をひいて、聖=被慈利=非事吏というルーツを示す。また、日知から、天皇にまで… ワクワクするタイプの論述ではないが、ちょっと時間が空いたと…

「快楽」青山七恵(群像2013年3月号)

★★★☆☆ ふつうです。 (あらすじ)ごく普通の主婦・芙祐子と、逞しい身体に端正な顔立ちの夫・徳史。ささやかな喫茶店を営む二人に、ある日、店の常連で会社経営者でもある慎二が、自分たち夫婦とヴェニスに旅行しないかと声を掛けてきた。彼の美しい妻・耀子…

「星を盗んだ父」川端康成(新潮2013年3月号)

★★★☆☆ ふつう川端の未発表作品とのことで、買ってみた。翻訳作品だった。親の愛を受けずに育った川端が訳していることをロマンチックにとるかどうかはされおくとして、作品として特に面白いこともない。川端のオリジナリティもみられる作品だとのことだが、…

「鐘の渡り」古井由吉(新潮2013年3月号)

★★★★★ 傑作!(あらすじ)2か月前に3年暮らした女を亡くした友人朝倉に誘われ、篠原は1泊2日の峠越えに付き合う。雨の中を共に歩き、弁当を喰らい、寺で小休止し、宿で寝起きし、町で酒を飲み…篠原は朝倉が変わるのを感じる。山を降り女の家に戻ると、篠…

「神と増山喜十郎」絲山秋子(新潮 2013年3月号)

★★★★☆ 面白い! (あらすじ)女装趣味の増田喜十郎は、齢70を超えたいまその歓びを満喫している。しかし、だからといって増田は以前からエキセントリックで自由奔放なキャラクターだったわけではなく、ごく普通に、他人に影響を与えることをできるだけ少なく…